油冷マシンを考える
皆さんには憧れのバイクやお気に入りのエンジンなどありますか?
私にとってそれは紛れもなくスズキの油冷エンジンです。
時代は2バルブから4バルブに移行し、冷却方式も空冷からより冷却効率の高い水冷に移り変ろうとしていた80年代。
スズキはあえて技術的に確立されている空冷エンジンの発展型を自社のレースベースマシンとハイエンドモデルに搭載します。
それを油冷エンジンと名付ける事により市場にインパクトを与えました。
キモは軽さでした。当時の技術で水冷化しようとなると、空冷から5kg以上の重量増になってしまうというという事がわかりました。それを避けながら、エンジンで最も高温になるシリンダーヘッドにダイレクトにオイルを吹き付ける事によって出力を保ちつつ信頼性と軽量化を成し遂げたのです。
かくいう私が油冷エンジンに魅了された時代には、もう既に油冷エンジンのアドバンテージは存在しませんでした。しかしながらPOPヨシムラと当時スズキにいた横内悦夫さんの男の約束によるパワーユニットである事や、今に続くGSX-Rの始まりのエンジンである事を考えるとワクワクせざるを得なかったのです。
最終的に私は油冷最終型と呼ばれるGSX-R1100を手に入れる事となりました。ここに至った経緯として最もパワーを絞り出した油冷エンジンである事。憧れのチューナーが仕上げた油冷マシンのベースがこれであった事。前後17インチタイヤで倒立フォークなど現代的な足回りである事なども大きな要素でした。走りはある程度楽しみたいし、その為のカスタムに資金を割きたくは無かったのです。そして私はこのマシンにライディングとメカニズムの両面の知識を育てられたのです。
そしてこれからも…
この連載ゆっくりと続きます。
続